メチレンブルーで卵を育てると良いのはなぜか
メチレンブルーでメダカの卵を育てる目的は卵を水カビから守ることです。
メチレンブルーは魚の白点病などの治療で使われている薬品で殺菌作用があります。
その殺菌作用には卵にカビが生えるのを抑制する効果もあることからメダカの卵育成で使用されるようになりました。
その仕組みはメチレンブルーの成分が光に反応して活性酸素を発生せることによる殺菌消毒作用です。
抗生物質のように細胞を攻撃するものではなく、毒性も低いためメダカの卵や稚魚に対して副作用はほとんどないとされています。
ちなみに無精卵や死んでしまった卵はメチレンブルーに漬けると青く染まりますので青く染まった卵を見つけたら除去しましょう。
このように有精卵と無精卵を見た目の色で即座に判断できるのもメチレンブルーを使うメリットと言えます。
メダカの卵に使うメチレンブルーの濃度や量
メチレンブルーの量は飼育水が若干色づく程度で問題ありません。
薄くても色づいていればメチレンブルーの効果はありますので無駄に濃度を濃くする必要性はありません。
先にも述べましたが、メチレンブルー自体の殺菌作用から考えても毒性は低いため多少入れ過ぎても問題が起こることはありません。
それでもやはりメチレンブルー水溶液を使った製品の使用方法を確認して用法・用量を守りましょう。
さらに使用方法の半分程度の濃度でも効果は期待できます。
一例として薬品に割り箸の先端を入れ、その割り箸で飼育水をかき混ぜてほんのり水色になっていればそれで効果は期待できます。
メチレンブルーは光に反応して殺菌作用の効果が現れ,徐々に色があせていきますので無色になっていたら効果が無いと判断できます。
ただ、メダカの卵飼育に使用する時にはメチレンブルーが無色になる前に水質の悪化を懸念して水換えを行うことになるため常に色づいている状態になると思います。
メチレンブルーの効果を発揮させる方法
飼育水にメチレンブルーを適量入れ放置しておけばカビ防止にはなりますが
ちょっとしたことに気をつけることでメチレンブルーの効果を最大限に発揮させることができます。
ここでいうメチレンブルーの効果とはメダカの卵の孵化率を高めることです。
卵にカビが生えずに順調に育てば孵化率は必然的に上がります。
メチレンブルーは光に当てることで反応が起き、殺菌作用が働くので暗い場所ではなく、光の当たる場所で管理するようにします。
メチレンブルーの効果以前にメダカの卵は光に当たらないと孵化までの時間が伸びてしまううえに孵化率が下がってしまいます。
理想は14時間以上日の光が当たる場所で管理することです。(照明でも代用可)
もちろん水温も大事な要素です。
メダカの卵は25℃~26℃で管理し10日ほどで孵化させるのが1番良いとされています。
水温が低すぎると孵化までの日数がかかるうえに孵化率も下がってしまいます。
逆に水温が高いと孵化までの日数は短くなりますが、やはり孵化率が下がってしまいます。
一例としてこんな実験結果があります。
水温25℃で管理した卵は孵化までに10日を要し、孵化率は95%を超えていました。
水温18℃で管理した卵は孵化までに25日を要し、孵化率は50%以下まで落ちていました。
水温30℃で管理した卵は孵化までに8日を要し、孵化率は50%以下となっていました。
※これはあくまでも一実験結果ですので参考までに。
このように水温が卵の成長に与える影響は大きいものですのでしっかり管理しましょう。
日の光と水温が管理できたら常に新鮮なメチレンブルー水溶液を維持することを心がけましょう。
新鮮なメチレンブルー水溶液を維持するには水換えをこまめに行わなければなりません。
メチレンブルーを使った卵育成での水換え
メチレンブルーを使っていると殺菌作用があるので水換えをしなくても水が悪くならないと思う人もいるかもしれません。
しかし残念ながら水は古くなりますし、悪くもなります。
無精卵が水の中ですぐにカビてしまうことからもわかるように卵には水を悪くさせる成分が多く含まれています。
有機物ですのでしかたないことなのですが。
メダカの卵の孵化率を調べる実験で小さな容器と大きな容器を使って孵化率を比較した実験があります。
容器の大きさ以外は全て同条件にて行っています。
結果は大きな容器を使用した卵の方が孵化率が高くなりました。
その理由には卵を管理している水の酸素量や汚れ具合が関係していると考えられています。
よってメダカの卵を育てる時には常に綺麗で酸素豊富な水を維持することが大切なのです。
卵の育成に限ってはカルキ抜きをしない水道水にメチレンブルーを入れて問題ありません。
メダカの飼育では水道水に含まれるカルキがメダカに良く無いので
しっかりカルキ抜きをした水を使いますが、卵はカルキによるダメージを受けることはありません。
逆にカルキによる殺菌作用でカビの防止にもなります。
ただ水道水に含まれるカルキの殺菌効果はメチレンブルーに比べると短時間で効果が薄れるうえ、微力ですのでメチレンブルーほどの殺菌作用はありません。
もちろん稚魚が孵化し始めたらカルキ抜きをした水道水を使うようにしましょう。
新しい水には豊富な酸素が含まれていることも卵にとって非常に好都合です。
卵の世話でメチレンブルーはいつまで使う?
卵のカビ防止にメチレンブルーを使用しているといつまでメチレンブルーで育てるのがいいのか?
通常の飼育水に戻すタイミングはいつか?
あまり切り替えが遅いと稚魚に害がある?
こんな疑問も当然出てくるものです。
まず、メチレンブルーの中で稚魚が孵化してしまっても全く害はありませんので安心してください。
ただ、メチレンブルー水溶液の中で稚魚を飼育していると稚魚の餌となる微生物の繁殖がないので孵化したら通常の飼育水で飼育してあげましょう。
産まれたばかりの稚魚は非常にデリケートですのでネットなどで掬うだけでダメージを受けてしまうこともあります。
稚魚を移動させる際には卵の移動同様にスポイトやレンゲなどで吸い取って移してあげましょう。
もしくは少しずつ水換えをしながら徐々にメチレンブルーを薄めていく方法もあります。