自然界のメダカは川底に沈んでいる流木や落ち葉の間などに身を隠して冬眠します。
では、屋外飼育で冬眠させるメダカの隠れ家に落ち葉は最適なのでしょうか?
結論から言うと、落ち葉については賛否両論あるため、最適とは言い難いです。
しかし、もし落ち葉を使いたいという場合には、柿の葉の落ち葉がおすすめです。
冬眠しているメダカに落ち葉を使うと良い理由として次のようなものがあります。
- メダカは水底で冬眠するため沈んでいる落ち葉に隠れやすい
- 落ち葉が発酵して熱が発生するので低水温対策になる
- 屋外容器に入れた落ち葉は水分を吸って水底に沈んで堆積します。
メダカも水底で冬眠するので、水底に堆積した落ち葉はメダカが逃げ込みやすく隠れ家として最適だという意見があります。
確かに、落ち葉は柔らかいためメダカの体を傷つける心配が少ないですし、落ち葉の間にメダカが隠れても間に挟まって死んでしまう心配が無いので安全です。
また、堆積した落ち葉が発酵して熱を出すため、水底の水温が多少温められるので、水温の下がりすぎを防ぐ事ができると言われています。
一方で、落ち葉には次のようなデメリットがあるともされています。
- 水質悪化の原因になる
- スネール(巻貝)の繁殖が促される
落ち葉は有機物です。
有機物は濾過バクテリアによって分解されますが、量が多すぎれば分解が間に合わなくなるため水質が悪化してしまいます。
また、濾過バクテリアが分解しきれずに堆積した落ち葉は、時間が経過するごとに腐敗していくため、これも水質悪化の要因となります。
メダカが冬眠している冬の間は基本的に水換えを行いません。
そのため、落ち葉による水質悪化が進んでしまうと、冬眠中のメダカが水質悪化に耐えきれずに死んでしまう危険があるのです。
このような事態を避けるために、落ち葉のような水を汚す恐れのある物は極力排除した方が良いという意見もあります。
また、落ち葉はスネールの餌となるので、容器内への落ち葉の堆積はスネールが発生する原因になるとされています。
スネールは飼育水の水質悪化を防いでくれるありがたい存在ではありますが、数が増えすぎると景観を損なってしまいます。
また、増えすぎたスネールを駆除するのも一苦労です。
このような理由から、メダカの冬眠に落ち葉は使わない方が良いという意見もあります。
以上のように、メダカの冬眠時の落ち葉使用は賛否が分かれるので、最適とは言い難いです。
しかし、落ち葉を使って問題無く越冬させている方がいるのもまた事実なので、飼育者の考え方・使い方次第で合う合わないが分かれます。
自然に手に入るものでメダカの隠れ家を作ってあげたいという方には、落ち葉も選択肢の一つとなるでしょう。
ですが、落ち葉ならば何を使ってもいいという訳ではありません。
葉が薄い落ち葉は腐敗しやすく水を汚しやすいですし、農薬が散布されている植物の落ち葉はメダカにとって有毒です。
おすすめは柿の葉の落ち葉です。
柿の葉は厚みがあり分解されにくいので、一冬超える間メダカの隠れ家として十分に活躍してくれます。
また、柿の葉は腐りにくくもあるので水が汚れにくいです。
さらに、柿の葉にはメダカ飼育にとってプラスになるタンニンが含まれています。
タンニンには抗菌・抗ウイルス作用があるため、水中の細菌やウイルスの働きを抑える効果が期待できるます。
そのため、冬眠中で活性が落ちているメダカの健康を守るのに役立ちます。
以上のような理由から、メダカの冬眠に使う落ち葉は柿の葉がおすすめです。
柿の葉の落ち葉を使う際には農薬などの薬品が使われていないものを選ぶようにしましょう。
また、泥などの汚れが付いている物は洗い流してから使います。
柿の葉の落ち葉を飼育水に入れると茶色く濁る事があります。これは柿の葉からアクが出るからです。
このアクの正体はタンニンなので、水が茶色く濁ってもメダカには害がありません。
しかし、飼育水が茶色く濁るのを避けたいという場合には、柿の葉の落ち葉を1~2週間ほど別容器で水に浸けてアク抜きしてから使用すると良いでしょう。
以上のように、メダカの冬眠に落ち葉を使うのは賛否がありますが、使うのならば柿の葉の落ち葉がおすすめです。
メダカの冬眠時でも日光などの日当たりは必要?
屋外でメダカを飼育する最大のメリットは直射日光が当たる事です。
日光が直接当たる事でメダカの発育が促されるので、体が大きく体色の良いメダカが育ちます。
そんなメダカの発育に欠かせない日光ですが、冬眠中で活性が落ちているメダカにも日光などの日当たりは必要なのでしょうか?
冬眠中のメダカは日光に当たらなくても問題ありません。
メダカの様子を見ていてもわかるように水面近くに出てきて、日光浴をする姿もほとんど見られません。
メダカは気温の低い季節は活性が下がるため隠れ家に隠れてじっとしています。
よって日光浴はほとんど必要がないのです。
むしろ、日光が長時間当たる場所に冬眠中のメダカを置いておくと、それが原因で死んでしまうことがあり危険です。
メダカの発育に欠かせないはずの日光が冬眠中のメダカには危険な理由は、「急激な水温変化の原因になるから」です。
冬が終わりに近づく頃には日中の気温が徐々に上がり始め、暖かい日が増えてきます。
しかし朝晩はまだ寒く、メダカの飼育容器に氷が張る事も少なくありません。
このような時期に日光が直接当たる場所にメダカ容器を置いてしまうと、直射日光によって水が暖められ水温が一気に上がります。
しかし、太陽が沈むと今度は氷が張るほどの外気温によって一気に水温が下がってしまうため、急激な水温変化が起きてしまうのです。
0℃から38℃までの水温に適応できるメダカですが、このような急激な水温変化には耐えられません。
このように、冬の直射日光は急激な水温変化の原因となるため、冬眠中のメダカにとってはむしろマイナスです。
スペースの問題で日光が長時間当たる場所に飼育容器を置かなくてはいけない時は、すだれをかけるなどして直射日光を遮るようにしてください。